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徒然小ネタ集

写真やフィルムにまつわる小ネタ、デジタル画像にまつわる小ネタ、へぇそうなんだ、これって便利、ちょっとしたことを書き綴っていきます。

Luminance HDR と pfstmo のトーンマッピング

やってみた
普段 HDR からトーンマッピングには qtpfsgui 1.9.3 を使っています。qtpfsgui からバージョンアップして Luminance HDR と名前を変えてからは有料版になったと勘違いして手を出していませんでした。それが最近 Flickr のグループで新しいバージョンを出すのでプレリリース版をお試しあれというコメントを見かけて、ホームページを覗いてみると、あれれ Luminance HDR ってオープンソースだったんだと気がつきました。今までどこを見てたんだ?

早速 Windows 版バイナリとソース(後々読むので)をダウンロードして使ってみました。なんとトリミングもできるしJPEG出力のクオリティも設定できるじゃないですか。トーンマッピング後の絵もウィンドウ枠で拡大縮小できるし。今まで使わなかったのを後悔しました。

今回のバージョンアップで私的にもっともうれしかったのは mantiuk06 の高速化。SSE 機能を使って改善していますので CPU のコア数に関係なく一様に高速化します。ここで一番よく使う TMO である mantiuk06 が各バージョンでどうなってきたか簡単に書きます。pfstmo-1.3.2 と pfstmo-1.4 ではまったく同じコードを使っています。高速化のために OpenMP で並列処理をさせています。qtpfsgui-1.9.3 はpfstmo-1.3.x をベースにしていて、そこに detail factor というパラメータを追加しています。また saturation correction も 0-1 だったのを 0-2 とより大きい値を指定できるようになりました。saturation correction は pfstmo-1.4 のリリース後に pfstmo にも取り込まれました。それからしばらくして今度の Luminance HDR 2.0.2-pre1 では OpenMP 頼りだけの高速化だけでなく SSE を使うようになりました。

pfstmo と Luminance HDR の仕上がりデータを見ていてヒョンなことに気がつきました。似てるけどなんか違うんです。例えばサンプルのHDR画像の中から Nancy church #2 をトーンマッピングしてみるとこんな結果になります。左が Luminance HDR で右が pfstmo です。(画像をクリックで大きくなります)

Luminance HDR のサンプル pfstmo のサンプル

二枚を重ねてみると

トーンマッピングの各パラメータは下記のとおりです。

pregamma: 1.0
contrast factor: 0.3
saturation correction: 0.8
detail factor: 1.0
gamma: 2.2
pfstmo のコマンドはこうです。 $ pfsinrgbe nancy_church_2.hdr | pfstmo_mantiuk06 --factor 0.3 --saturation 0.8 | pfsgamma --gamma 2.2 | pfsout nancy_church_2.jpg なんだか pfstmo の方が明るいです。何で一致しないんだろう???Flickr で聞いてみようかな。


2010/12/21 追記
なんでこんなことが起こるか flickr で書いてみましたが明確な答えが得られなかったので自分でビルドして調べてみました。 結果が分かってみると flickr で返事をくれた方(Luminance HDRの作者の一人)も何を答えたらよりのかわからない質問だったと思います。 私も彼の返事の意味がやっと分かりました… とにかくいろんなところでつまづいたし、いろいろ勉強になりました。 gcc の -ffast-math などのオプションでは高速化のために計算精度が落ちるのが一番つらかったなぁ。 処理途中のデータをバイナリレベルで違いを調べていたので1ビット違うだけでつまづくしかなかったのです。 ということで原因が分かりました。 ポイントはトーンマッピング後にガンマ補正をしないこととpfsデータからLDRへ変換するときにRGBではなくsRGBカラースペースを使うことでした。 pfstmo_mantiuk06 のマニュアルにトーンマッピング後にガンマ補正を必要とすると書いてあるから、てっきり Luminance HDR でもガンマ補正をしているのかと思っていました。 どうりで flickr で pfsgamma? と変な返事をもらうわけです。
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