その他
もうずいぶん昔のことになります。個人的な話なのですが、「写真の整理」という名の下に実家に保存してあったフィルムがすべて処分されていたということがありました。もちろん所有者が何しようが勝手なのですが、処分する前にはその価値について考えたほうがいいと思います。おそらく…本人は変なオレンジ色のフィルムはプリントを作る過程にあった一時的なもので、いったんプリントを作ってしまうと必要無いものと思っていたのでしょう。残念。
整理整頓をしようという姿勢も正しいし、整理の基本は捨てるというのは正しいけれど、写真についてはそう簡単はいきません。
まずは写真というものの特長をおさえましょう。
- (1) プリントのダイナミックレンジは狭い
- 紙よりPCのモニター、それよりもフィルムのダイナミックレンジが広いです。紙焼きしたらPCのモニターで観れていた暗部がべったり真っ黒になってしまったり、雲や白い壁など明部が全部真っ白になってしまったり、プリントのダイナミックレンジは狭いです。そして、フィルムに残されている情報はPCのモニターではすべてを観ることはできません。
- (2) プリントが一番色劣化(日焼け等)する
- フィルムも経年劣化しますが、紙ほどではありません。それにフィルムといえば大概ネガで、それ自体は直接見ても何だか分からないので人手に触れることはあまりありません。結局しまいこまれているケースが多く意外と状態がいいことがあります。
- (3) プリントはかさばる
ここに挙げただけでもプリントをとっておくメリットを探すのは大変です。そんな画質の悪いものを後生大事に保存してどうするの?とも思ってしまいます。保存や管理から観点をずらすと、どこでもパラパラとめくって簡単に観られるというのはあるでしょう。しかし、整理・管理・保存で考えるとやはり得策では無いでしょう。
パソコンで管理してみよう
いったんパソコンで写真を管理しようということになると、それを目的とした便利なアプリケーションがいくつもあります。たとえばgoogle製のPicasa。現在バージョンは3ですがぱっと思いつくだけでも下記のような機能があります。
- タグやコメント(写真の説明)、googleマップと連動した位置情報を写真に付けることができます。
- 通常ディレクトリ(フォルダ)で写真をまとめているのとは別にアルバムという名前でいくつかのディレクトにばらばらにある写真達をグループ化することもできます。
- 顔認識などの新しく実験的な機能もあります。
- PCとオンラインアルバムとを連動させて、遠方の家族・友人と写真を共有することもできます。
ここではPicasaの紹介が目的ではないのでこれくらいにしておきますが、パソコンで写真を管理するということはサービス判を写真屋でもらったポケットアルバムに保存していた時代とは比べ物にならない応用と将来性があります。
便利な点の次は画質です。10年、20年前までは何十万円もしたモニターが今では、数万円で当時をはるかに凌駕する大画面で高画質なものになりました。2010年、今一番売れているのは21.5〜24インチ程度の大きさでフルHD表示できるものです。表示面積としてだいたい(477mm×268mm)〜(531mm x 299mm)、つまり紙にしてA3やB3といった大きさなのです。しかも紙よりもダイナミックレンジが広いので高画質なことこの上ないですね。フルHDのテレビで観るのもいいでしょう。
でもやっぱり紙焼き?
プリントを否定しているわけではありません。紙は持ち歩けるし、電気代もかかりません。いつも持ち歩ける小さい写真、写真立てや大きく印刷して額装して常に飾っておきたいものです。ちゃんとレタッチしてどんどん印刷して楽しみましょう。
そしてバックアップ
していないと後で泣きます。お金じゃ取り戻せません。時には恨まれることも…
フィルムを捨てないで
結局、カメラが映像を焼き付けたのはフィルムで、プリントもモニターもフィルムに写っている映像を人間が見る一つの手段でしかありません。今後いつまたフィルムに頼りたくなるかわかりません。そんなに場所をとるものでもないし、今後増えることもないだろうし、箪笥の奥にでも居場所を作ってやってください。