コーヒー現像の特徴は、現像液に特別な薬品を使ってないところ、近所のドラッグストアやスーパーで売っているもので現像液を作れます。停止や漂白はどうするの?私はフィルム用のを使っていますが、やろうと思えば、食用の酢やクエン酸と熱帯魚用のハイポでできるはずです。今度やってみよう。
画質については、市販の現像液でも種類や使い方であれがいいこれがいいと好みがそれぞれなので置いておきます。
コーヒー現像処方の中ではビタミンCを使った Caffenol-C というのが結果が良好ということでとても有名です。Reinhold さんが Caffenol-C について試行錯誤しまとめたブログがあります。そこにすべてがあると言っても過言ではないです。 Caffenol-C は炭酸ナトリウムとビタミンCとインスタントコーヒーを使います。炭酸ナトリウムは炭酸ソーダという名前でスーパーや100均、ドラッグストアで売っています。間違えやすいものに炭酸水素ナトリウム(重曹)があります。注意してください。ビタミンCはドラッグストア、インスタントコーヒーはあらゆる所で手に入ります。コーヒーについての注意点は高級品は避けること。ちょっとしか使わないからという理由でゴールドブレンドの小瓶なんて買わないでください。ズドンとでかい瓶なのに安いのが理想的です。
Reinholdさんの許可がとれましたので、Reinholdさんが作成した処方の日本語版を作りました。誤訳などありましたら教えてください。
表には C-C-M、C-C-H、C-C-L の三つの処方があります。-M は「for medium fast 100 ASA films」の m で、ISO100 までの低感度フィルム用の現像液です。-H は highspeed の h で、ISO400以上の高感度フィルム用です。C-C-Mで高感度フィルムを現像するとどうしてもカブリが出るのでブロムカリを添加したバージョンです。ブロムカリなんて近所では売ってないじゃないか!ごもっとも。そんなときは ISO100 のフィルムを EI400 で撮れば C-C-M で現像できます。Caffenol-C は増感にも対応します。そして最後に -L は Reinhold さんのC-C-L 紹介ページには明記されていませんが、long dev. time や long brewing time の l だと思います。長時間静止(放置)現像用です。カブリもなく、攪拌によるムラもありません。しかも粒子が小さい。パーフェクト。
C-C-Hで増感にふれましたが、Caffenol-C での増感は簡単です。通常通り現像するだけです。時間延長や濃度を変える必要がありません。スキャン結果には大して差はでません。若干粒子が粗くなるそうです。
左の写真は本文とはあまり関係ありません。カラーネガフィルムを Caffenol-C-L で現像したものです。
Caffenol-C-Mの炭酸ソーダ(Na2CO3,炭酸ナトリウム)を減らした処方です。炭酸ソーダを減らそうと考えた人は何人かいるようで、どなたが考案したとは言えない状態らしいですが、ここでは有名な Eirik Russel Roberts さんのものを紹介します。Eirik さんは現像液をちまちま作るのが面倒ということで、予め粉を水に溶いた状態にしておきました。そうすれば現像液を作るときに液体を混ぜるだけでできます。粉が溶け残る心配もありません。たしかに完全に溶かすにはけっこう混ぜます。ところがしばらく液体を放置していると、炭酸ソーダが結晶になって析出してしまいました。それはまずいということで、薄めの炭酸ソーダ水溶液で現像液を作ったということです。しかもその結果がとても良かったのでした。Caffenol-C-M(RS) の RS は reduced soda, reduced sodium carbonate, 炭酸ソーダを減らしたバージョンということです。
どれくらい炭酸ソーダを減らすかといえば、およそ75%がちょうどいいようです。つまり C-C-M の現像液1リットル中、炭酸ソーダを 54g から 40g にします。温度や時間、拡販方法は特に変更はありません。RS は C-C-H でも良い結果になるようです。
コーヒー現像の処方について試行錯誤してレシピを生み出している人が何人もいます。その中の一人の Dirk Essl さんは、これだ!というレシピにたどり着きました。そのときメインで使っていたフィルムが Ilford の Delta 400 だったので、Delta レシピと名づけました。Delta レシピは C-C-M と比べるとたくさんビタミンCを使い、炭酸ソーダが少なめです。処方は現像液1リットル作るために、45gのインスタントコーヒー、24gの炭酸ソーダ、20gのビタミンCです。Dirk Essl さんはこの他にもマイクロフィルム用の Delta-MIC や二浴式の Caffeafine というレシピも作りました。
これはインスタントコーヒーを使いません。スマトラ(インドネシア)のコーヒー豆を煎るところから始めます。想像するだけでも安定して現像できなさそうです。しかもちゃんとしたコーヒーより激安のインスタントコーヒーが良かったのでは?考案者の John Nanian さん以外できるのでしょうか?すごすぎます。
Flickr の discussion で臭化カリウム(KBr,ブロムカリ)の代わりに臭化ナトリウムを使う方法が紹介されていました。C-C-H や C-C-L ではかぶり防止にブロムカリが必須です。臭化ナトリウムはプール用品店で売ってるので、ブロムカリより手に入れやすい…とこの人は書いていますが、プール用品店って…
その返答でブロムカリの代わりにヨウ素を添加した塩を使っているという人がいました。日本のスーパーでは見かけませんが、海外ではヨウ素を添加しているところもあるようです。だとすれば、お手軽な代用品ですね。これで本当に日常的な品物のみでコーヒー現像できます。